Derailleur Brew Works

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BEER

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DELTA PARK FIGHT CLUB

まったりとした甘い香りから始まる。
生きる実感に輪郭を強く描かせるベルジャンIPAです。
ベルジャンIPA
原材料:麦芽/ホップ/アイリッシュモス
ABV:7.5  IBU:44 SRM:13

¥3,780 ~ ¥15,120

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試合開始は23時30分。

3分前には待合室のランプが点灯する仕組みになっている。
点灯するランプをぼんやりと眺めながら、一本の決まったビールを飲み干すのが、
いつのまにか俺の儀式になっていた。
俺の国のスタイルのビールだ。ニシナリ製だが、わるくない味だ。

アーロン、闘技場へ速やかに入場してください。
合成された機械音声が待合室に響く。
頭を二度三度揺らし、アルコールが脳内に満遍なく染み渡るのを確認し、
俺は鳥籠-俺はそう呼んでいるが、闘技場というのが正式名称らしい。
だが、金網に囲まれたコンクリートの床のスペースで、
小鳥のように囀るのだから鳥籠がふさわしい名称だとずっと思っている-
の方へ歩いていく。一度だけ、両の拳を合わせて小さい音を鳴らし、
その反動で左の胸を右の拳で小突く。

俺の名はアーロン・ヴァン・ダイク。
ベルギーで平凡だが何一つ不自由のない会社員として、生活を送っていた。
仕立てのいいスーツ。3500ccの車。何も考えずとも増えていく預金残高。
気のいい同僚たち。どれだけ抱いても飽きることのない女。ハンナ。
惜しみなく俺に愛をくれた女。ハンナ。
俺が同じだけの愛を与えていたかは俺にはわからない。

違う時間に違う場所で目を覚ましたら、俺は違う人間になれるだろうか?
ふとそんな疑問を持ち始めてしまった。
なんでもできる自由が手に入るのは、すべてを失ってからだ。

俺は仕事を捨て、ハンナを捨て、答えを探しに、旅に出た。
何カ国めだろうか、大阪のニシナリという街にたどり着いた。
悪くない味のビールがこの街にはあって、
ただそれだけでなんとなく気に入ってしまった。

ファイトクラブへようこそ。

ニシナリにある最大級の公立公園、デルタパーク。
その真向かいにアジア最大級の賭博闘技場がある。
デルタパーク・ファイトクラブ。
この国では、賭博は非合法らしく、表向きはボクシングの練習場だ。

痛みがなく、犠牲もなければ、何も得られない。
闘いを始めろ。生きていることを証明しろ。
そこで俺は闘うことを選んだ。
痛みは、俺に生きる実感をくれた。

俺は消費の奴隷だった。
だが今はどうだ。
観客たちは、その日の飲み代を稼ぐために、俺になけなしの金を賭ける。
俺は消費される側に立ったんだ。

誰もが、金を使って、必要のないモノを誰かから買っている。
俺は、誰かから、必要とされ、買われていく。
好きでもない彼らから気に入られる必要はない。
だが、そこには実感があった。生きている実感があった。
追い打ちをかけるように、わるくないビールの香りが、その実感の輪郭を太く描こうとする。

ハンナを捨ててまでの価値があったのかは俺にはわからない。
だが、これが俺の人生だ。甘さを捨てきれないのかもしれない。
そしてこれはお前の人生だ。俺たちは、1分ごとに死に近づいている。

心の中で声がする。
鳥籠の中で、ゴングが鳴った。



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ニシナリ最大級の公立公園デルタパークの横に鎮座する地下賭博闘技場DELTA PARK FIGHT CLUB。生きる実感を得るため、
賭けの対象として、全てを捨て闘い続ける男アーロン。開始のゴングがなるまで、一本のビールを飲み干すのが彼の儀式となっていた。
まったりとした甘い香りに始まり、突き破る、マンダリナバベリア、シトラ、グレーシアの香りの渦。

生きる実感に輪郭を強く描かせるベルジャンIPAです。