Derailleur Brew Works

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BEER

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NIGHT RIDER ROUTE26

5種のホップを使用しフルーティかつ、苦味が濁りなく調和された一品。
南国の花の香りが漂います。
セッションIPA
原材料:麦芽/ホップ/レモン果汁
ABV:4.5 IBU:51 SRM:5

¥3,780 ~ ¥15,120

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アスファルトに電磁輪(タイヤ)を切りつけながら、暗闇を走り抜けていく。

明日が来ることに怯えていたフリアールは、このまま何かに衝突してしまうからもしれない。ブレーキのない、上がり続けるスピードの中で。陳腐としか言えない恐怖と極度の不安の緊張感に、身を任せていた。

phantom pain

幻肢痛。14歳で失った右腕と右脚。17歳で失った初めての恋とピアノ、そしてカネダ。

フリアールが住んでいた南港(サザンポート)地区。唯一の公会堂があり、かつて父が作っていたビール。

その横にずっと鎮座していたエルカミーノ。69年式。父の生まれた年だ。骨董品にも程がある。ハンドルにはいつもメモが挟まっていて。父は、そのメモをフリアールにみせることだけを拒んでいた。

いつも助手席には座らせてくれたのに。

恋とピアノと、カネダを失ったフリアールは、ブレーキのいらない、
スピードが上がり続ける日常を選ぶことにした。

カネダが好きだって言っていた古い映画があって。そこに出てくる前時代的な人造人間がいて。
それを模して右腕の義手を作った。
T-800の焼印を入れて。
蒸気稼働装置を動力源にしたのは、もちろんカネダへの尊敬だ。
すこしの愛と。
自分の意思で失う右腕には、不思議と幻肢痛ってなくて。
フリアールの義体で、唯一神経接続の同期指数が100%を叩く部分だ。

父の残していたメモは、普通の父親が思うそんな他愛もないメモ。

フリアール、きみが20歳になったときに、
きみを運転席に座らせて、
僕は、横で、ビールを呑みながら、
きっと今以上に、ママに似て綺麗なレディになったきみを見ていたい。
それが、僕の、パパの夢だ。

普通の父親が思う、そんな他愛もないメモ。

エルカミーノの動力を5年落ちの蒸気装置に入れ替え、吸入量を制限撤廃(リミッターカット)した。
旋回性能と見た目とのトレードオフだ。全くの妥協で、ヒビの入ったゴムタイヤを電磁輪に交換する。

それだけで、ルート26で誰も追いつけない。
たったそれだけ。
あとは陳腐な恐怖に身を任せるだけ。

代理頭脳(ナビゲーション)は、政府推奨のものを入れる決まりがあるらしいのだけど、
少しばかり調整した、ガサツなお手製の相棒に。

乗り込み、ハンドルの横に、グラスをセットする。
父の好きなビールをなみなみと注ぐ。
このビールを溢さないように操作(ドライブ)する。

右脚をエルカミーノ69年式に直接接続(ダイレクトドライブ)。
ハンドルの周りに25個ある情報灯が全て点灯する。
その瞬間だけは、フリアールは、いつも、父と歩いた照り返しの夜景の街、シン・世界を思い出す。

余韻に浸る間もなく代理頭脳の起動が始まり、ステロタイプの電子合成音との挨拶を交わすのが、
彼の機嫌を損ねないための儀式。

「ねえ、エディ」
「ハイ フリアール。トビッキリ ノ ゴキゲン ノ ロック デ ツッパシロウ ゼ」

返事をしないでスピードを上げていく。
エディは自分のお気に入りのロック・ミュージックを流し始める。

phantom pain

フリアールは思う。
わたし一人では、解けない、
愛のパズル、執着心、喪失感、希望、未来、嫉妬、後悔。
全てを抱いて走り続ける。

この街は人造忽布に溢れ出してから、何かがおかしい。違和感。
先には堕落だけしかないやさしさ。
この街のやさしさに甘えていたくはない。

次の交差点(クロスロード)を曲がれば、ルート26に入る。
おそらく忽布集団(ホップヘッズ)と、彼らに操縦された機動警察たちが封鎖を狙っている頃だろう。
「エディ、そのまま突っ切るわ。最適解の侵入角を計算しておいて」
「モチロン デス フリアール 2.8 ビョウ ゴ ニ 56 ド デ シンニュウ ソレガ イチバン ロック デ・・・」

フリアールはエディの口調を真似て重ねつぶやいた。
「ロック デ ホップ」

電子合成音の笑い声が、ルート26上のネオンに消えていった。



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Derailleur Brew Worksの準定番ビール、『NIGHT RIDER ROUTE26』
5種のホップを贅沢に使い、フルーティかつ苦味をにごりなく調和させ、南国の花の香りもそこはかと漂う、アルコール度数低めながら華やかなセッションIPAとなっております。