Derailleur Brew Works

online shop

BEER

メインビジュアル

ハギノチャヤ アウトレイジ

フランス伝統ビール、ビエール・ド・ギャルドを、愛媛産のみかんで。
ほんのりとした甘さを楽しめるハイアルコールなビール。
ビエル・ド・ギャルド
原材料:麦芽/ホップ/みかん/アイリッシュモス
ABV:7.0 IBU:25 SRM:9

¥3,960 ~ ¥15,840

カートに追加しました。
お買い物を続ける カートへ進む

所詮、血塗られた道だ。
従えた四頭黒妖犬(ヘルハウンズ)が吐く炎は、
瞬く間にこの街を焼き尽くしていく。


焼き払え。再びこの大地を蘇らすのだ。

燃え盛る街を見下ろしながら、アヤが叫ぶ。
仮面だけでは隠しきれない移り香が、
私の心で燻る炎が、
四頭黒妖犬(ヘルハウンズ)の鼻を擽る。
あの頃の、蜜柑畑のような。
一面が金色だった、この街の蜜柑畑のような。
むせぶような香りを思い出す、鼻を擽るあの香りを。

正式名称iReen10-9(アイリーントック)エリア。
放電爆発以前の世代には、ハギノチャヤという呼び名が
有名かもしれない。
南海電磁鐵道(ナンハイ・レイルウェイ)の基幹発着場『ネオ・イマミヤ』
から南へ100キロに渡る、人口忽布工場が拡がるエリア。
政府肝入らしい。
この頃の政府は、やけに人口忽布にご執心だ。
人口忽布がもたらす富は、この街を裕福にし、
誰も工場化に疑問を挟まなかった。

かつては、この街は、広大な蜜柑畑の街だった。
この街の人々は、蜜柑貿易を営み、慎ましくも穏やかに暮らしてきた。
子どもたちは、畑を街を、走り回り、そのむせぶような香りに包まれ、
大人たちはそれを見守っていた。
そんな街で、かつてアヤも生まれ育った。
女手1つで育ててくれた母と、兄を爆発で失うまでは。

まだ生きるすべを知らない、天涯孤独であった少女に、
手を差し伸べたのは、額に三番目の眼を持つ男であった。

うだつの上がらない平民出にやっと巡ってきた幸運か、それとも破滅の罠か。
どちらに感じるのかは、お前次第だ。アヤ。

男はホフピンスキと名乗り、黙って手を握り返した少女に、自分が従えていた
四頭の犬を譲り渡した。
アヤはその日から、過去を、心を閉じ、
ホフピンスキの望むままに、生きることを決意する。

過去を捨てるのではない。
心を捨てるのではない。
燻り続ける炎を隠し続け、生きることを決意する。
過去を、心を、隠し続けるために、仮面(マスカレード)を手に取った。

仮面さえあれば、気取られること無く、隠し続けていくことができる。
自分の心も、隠し続けていくことができる。

燃え盛る街、逃げ惑う人々。誰もまだ気づいてはいない。
忽布集団(ホップヘッズ)と政府の真の意図に。
そして、ホフピンスキが、忽布集団の計画を阻止するために動き出していることに。

誰もまだ気づいていない。
この焼き払う炎が、時間稼ぎだということに。
忽布集団(ホップヘッズ)と政府をこの街に釘付けにする。
それが私の、最後の役割なのだ。
ホフピンスキが描くシナリオの、私が登場する最後の役割。
彼の描くヒロインは、わたしには与えられることが無かったのだ。

炎は工場地帯にまで届いたようだ。
人口忽布の焦げた匂いがする。柑橘の匂いがわずかにして。
昔、兄と走った、あの蜜柑畑を思い出す。

あなたは何をおびえているの。まるで迷子の栗鼠のように。

アヤが時間稼ぎをすると告げた時、エミリーはアヤにそう言い放った。
諫言、耳が痛い。
そう返しながらも、仮面の下で、ありがたいな、とそう思う。
私のことを気にかけているというのか。誰にでも等しく優しさを与えることのできる女だ。

お前はお前の道をいくがよい。それも勿布に翻弄された生き方だ。
ホウリュウジに向かって飛べ。反乱分子『半導生存者』(ソリッド・ステイト・サヴァイバー)を訪ねろ。
エミリー、ホフピンスキ。所詮、血塗られた道だ。仮面があれば、私はその道を歩み続けられる。気づかれぬうちに、帰ってきてくれないか。
人々に、忽布集団に、政府に、そして、私自身に。