Derailleur Brew Works

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BEER

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ライン オブ スクリメージ

岸里にある「TRATTORIA Linea 7」とのコラボ。
白ワイン風味のスパイシーでフルーティなフレンチセゾンです。
フレンチセゾン
原材料:麦芽/ホップ/カラギナン
ABV:5.0 IBU:30 SRM:4

¥3,600 ~ ¥14,400

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それにしても、驚いたな。まさかあんたが、
あのクリスタルボーイと知り合いだったなんてな。

老人は、金髪の男-名をコブラというらしい-の全身に、
包帯を蒔き直しながら、彼に驚きの言葉をかける。

左手は義手だ。手を模造された人工皮膚(カバー)を取り外し、
精神エネルギーを原動力とする精神銃の具合を確かめる金髪の男。

人工皮膚を再装着し、その手でベッドサイドに置かれていたビール瓶に手を付ける。

もう10年以上昔の話だ。
コブラという男が、誰にともなく、語り始める。

俺は、生まれた時から親の顔ってものを知らなくてね。
母親に抱かれてるより、コールガールにベッドで抱かれてる方が多いぐらいさ。

ククっと少し笑うような声。

気がつけば施設に入れられて育っていた。
勉強は好きだった。銀河考古学を学んでみたかったが、
孤児院のような施設が、学費を工面してくれるわけもなくてな。
もともと勉強なんて好きじゃないし、そのまま忽布海賊にでもなって
日銭を稼いで生きていくつもりだって、
嘯くようになっちまった。自分の感情に蓋をしてな。
大学なんて考えもしなかったさ。

染みるな。だいぶ派手に口の中もやられたみたいだぜ。

イテテ、と瓶の中身を口にしたあと零す男、コブラ。

きっかけは、銀河鎧球(スペース・フットボール)だ。
俺と、同じ孤児院の出身、デビッド・ボーイ。平たく言えば幼馴染だ。
デビッドと俺はいいコンビだったんだ。
ハイスクールでは、銀河大会で優勝しちまってな。
やつとは、なんでもわかりあえていた。
そう思っていた。パスコースも、相手の責め方も。欺き方も。
あいつがいれば、俺は振り向く必要もなく、敵のいないスペースにだけ一目散に走っていればよかったんだ。

あいつがどこに投げてくるか、俺がどこに走るか。
おれたちはわかりあえていた。
ゲームのあと、このビールを飲みながら、語り合うんだ。その日のパスの精度、ランのスピード。
お互いをもっと知りたいって思いを肴にな。


銀河鎧球(スペース・フットボール)の腕を買われ、
国立深紅大学(クリムゾン・ユニバーシティ)に特待生で入学した。

俺は一人で売り出そうと 躍起になっているうちに、
八百長試合の疑惑をかけられた。
俺と、同じ施設の出身ー平たく言えば幼馴染で、腐れ縁だー、デビッド”クリスタル”・ボーイ。
そして、ダグザード出身のアイアン・ブル。

奨学金がどうしても足りない3人組でな。
このパスを通さなければ、学費のお釣りが来るぐらいの額をもらえるんだって。
約束されちまってな。相手のチームに。

でも、わかるやつにはどうやったってわかる。
精細を欠く、なんてレベルのプレイじゃなかったらしい。
どうやら年貢の納め時が 来やがった。

電磁笛(ホイッスル)がスクリメージを告げる。
俺たちには、ゴールラインに仮想線(スクリメージ・ライン)が見える、
けして、越えてはならない平行な線。
腐れ縁は、友情のままで。仮想線を越えて愛情になんて、なっちゃいけない。

なのに、デビッドは、俺を庇って。
あいつだけが八百長の疑惑を一人で背負ったんだ。
翌日の記者会見は未だに動画アーカイブで漁れるぜ。
そのまま、デビッドは大学を辞めちまった。

恥ずかしい話さ、このビールを見るまで、すっかり忘れちまってた。

コブラはベッドから立ち上がる。

あいつの復讐に、俺は付き合ってやらないといけないんだ。
待っててやらなきゃいけないんだ。
仮想線の、向こう側で。