Derailleur Brew Works

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BEER

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サーカスヘイズミッドナイト

トロピカルで華やかな香りに、さらりとスルスル通っていくのど越し。
一口含めばトロピカルな香りが優しく抜けていきます。
ニューニシナリIPA
原材料:麦芽/ホップ/レモン果汁
ABV:5.5 IBU:20 SRM:4

¥3,960 ~ ¥15,840

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死ぬと覚悟したときに、何人かだけ、会っておきたい人がいた。

それは、人によっては、一人もいないかもしれないし、何十人といる人も、いるかもしれない。
私は、数えるほどしかいなかったんだけど、そのうちの一人が、ルシールだったの。

エミリーさんは、僕にそう語りだした。

ツルミバシって知ってる?AREA2470が唯一統治していない独立行政区があるの。

僕がきょとんとした顔をしているので、エミリーさんは、そっか、今の子は知らないんだね。
そう呟いて、詳しく教えてくれた。

AREA2470を中心とした四大大陸、
贅四衛府 (ゼイシイエフ)が唯一手を焼き統治を手放した
独立行政区ツルミバシ。圧倒的な資金力と忽布、兵力を有しているにも関わらず、統治が不可能だったのは
不思議だと思わない?
そこに、薄切りに包まれたサーカス小屋があるの。

自動人形(オートマタ)の存在よ。

2-10郭の放電爆発で、主を失い、行き場を亡くした自動人形(オートマタ)が、
夜な夜な、忽布を手に入れては集まり、練り歩き、奇妙な踊りで街を練り歩き始めたの。
目的は、主の復讐よ。すなわち人間に敵意を持ち、主に忠誠を誓うの。
もう存在しない主の、存在しない命令に忠実に従っているだけ。

奇妙な踊りで街を練り歩くサーカスね。まるで。忽布警察も、忽布集団も、政府軍も。
非公式だけどFATBOYZも、彼らの制圧に動いたわ。
だけどもことごとく殲滅。人間側がね。

生きる意味をなくすって、どういうことなのか、知ってみたくなったの。
ルシールなら、教えてくれるかもって。

ルシールに会うのは簡単だった。ルシールは、主の母親だったの。つまり娘を亡くしたともいえるわね。
何しに来たって怒鳴られるかと思ったんだけど、すんなり”サーカス”の中に入れてくれて。
彼女はこう言うの。
ここは、あぶれものの集まるサーカスさ。
自分一人で生きる道を選べない、
顔色ばかり伺う、悲しい道化(アルルカン)たちのね。

そういってルシールは忽布煙草を燻らしたわ。わたしのこれと同じ。
吸ってみる?

僕は首を横に降ったが、エミリーさんの口元からほのかに香る、
甘くてあたたかい忽布の香りにうっとりしてしまった。

ルシールはね、わたしにこう言うのよ。
あたしはね、ずっと紙の端を黒く塗っていたよ。エミリー。
澄んだ麦酒を作りたかったけど、気づいた時には、
フフ、もうこの霧のように濁らせていた。

きっと、復讐の気持ちしかなかったんでしょうね。自動人形(オートマタ)と同じね。
黒く塗る気持ちしか、生まれないのよ。
毎日、毎日、同じ気持ちしか。

私ね、恥ずかしいけど、その話を聞いて
わんわん泣いちゃったんだ。
こんなおばさんがね。
そうしたらね、

泣くのはおよし、エミリー。
あんたは、あたしには、なるんじゃないよ。
時間切れさ。
人生は、そういうものだよ。

そういって、ルシールは慰めてくれて。
震える手で、私に手渡してくれた。
カサカサの手で。わずかばかりの忽布と、ペンダントを。
娘さんのなんだって。

生まれた時、人はまっさらな麦芽と、眩い香りの忽布を渡されて、なんでも作っていいよと言われる…。
さて何を作ろうか。
考えているうち、たっぷりあったはずの時間は過ぎてゆく。

ようやく作りたいものが決まった時には、もう帰る時間さ。
作りかけの麦汁と忽布は取り上げられてしまうんだ。
私はね、ずっと紙の端を黒く塗っていたよ。

ウサギを描きたかったんだけど、気付いた時には、フフ、もう白いところは全て塗り潰してた。
あんたは、私には、なるんじゃないよ。

ちゃんと、麦汁と、忽布をしっかりにぎって、真っ直ぐに紙を見て、迷わずお描き、
自分の、絵を、さ。

だからね、決めたの。エミリーさんは僕の方を見て、それから一旦顔をそらして煙を吐き出して、
こう言った。

私の描きたい絵、それを迷わず描くわ。
たとえ、

僕はオウム返しのように聞き返しちゃって。たとえ?って。

うん、たとえ、自分の命を失うことになろうとも。
エミリーさんは笑っていた。

綺麗だな。そんなエミリーさんを見て、
僕は素直に、そう思ったんだ。



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Derailleur Brew Works代表の山﨑と地底旅行の大日ブルワーが共にレシピを練り上げた第1作です。
トロピカルで華やかな香りに、さらりとスルスル通っていくのど越し、一口含めばトロピカルな香りが優しく抜けるNEW NISHINARI IPA作ってみました。
ホップのフルーティーな香りは残しつつ、苦味控えめのドリンカブルな仕上がりです。